病気や事故による脳損傷の後遺症に苦しむ
「高次脳機能障害者」の支援へ第一歩
▼国立身体障害者リハビリテーションセンターが中間報告▼

 病気や事故等で脳損傷の後遺症に苦しむ人々、いわゆる高次脳機能障害者への支援の具体策がこのほど一歩記されました。厚生労働省の「高次脳機能障害支援モデル事業」の中間報告が、国立身体障害者リハビリテーションセンターによって、このほどまとめられました。この中では、サービス提供の出発点となる障害の「診断基準案」が初めて示されるなど、支援の具体化へ第一歩を踏み出す内容となっています。関係者の意見を 幅広く聴いた上で、2003年度末までに最終報告がまとめられる予定。
 高次脳機能障害とは、脳血管障害(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など)や交通事 故などによる外傷性脳損傷によって後遺症として現れる失語や記憶障害、注意障害、 社会的行動障害(欲求や感情のコントロール低下等)などの認知障害を指します。
 具体的には、「会話がうまくかみあわない」「段取りをつけて物事を行うことが出 来ない」などの症状が挙げられます。
 日常生活において大きな支障があるにもかかわらず、外見は健常者とほとんど変わらないため、障害に対する社会の理解がまったくといっていいほど得られていない。
 また、障害の定義が不明確なことから、高次脳機能障害者にかかわる医療、福祉、介護などの関係者の間でも共通認識が乏しく、具体的な対応に結びつかなかったり、 適切な支援サービスが十分に提供されないでいます。
 そのため、広田誠一県議は公明党・国会議員を通して国の事業として対応策の具体化を要請してきました。そして、国のモデル事業化に際し、福岡県が参加するよう強く働きかけをし、13 年度より3年間で行う同事業へ福岡県も参画していました。
 中間報告では、国立身体障害者リハビリテーションセンターと12自治体の地方拠点 病院における高次脳機能障害者324人に対する支援事例を分析するとともに、これを基にした高次脳機能障害の「診断基準案」と「標準的訓練プログラム(リハビリ) 案」、個々の障害者にどのような支援が必要かを明らかにするための「支援ニーズ判 定票案」を提示しました。
 さらに中間報告では、国民の啓発や就業・修学に向けての対応など、今後の検討課題を提示。「障害者手帳を所持しないケースを含めた支援の提供方法についても見当する必要がある」としています。

[今後の予定]
○ 平成15年度においては
  • 引き続き、試行的に訓練や支援等を実施することにより、さらに知見を集積する。
  • 以下の現時点における課題について、さらに検討を進める。
<今後の課題>

  1. 対応の体系化
    受傷・発症から地域生活に至るまで、それぞれの時期における状態とニーズ等を踏まえた対応について、一連の流れとして整理する。

  2. 医療サービスに関する対応
    ・原因疾患等の受傷・発症時(急性期)の対応
    ・回復期の対応
    ・高次脳機能障害の有無の診断

  3. 福祉サービス等に関する対応
    ・社会福祉施設等における対応
    ・地域における対応
    ・就業・就学
    ・権利擁護

  4. 適切な情報の提供
    ・国民の啓発
    ・行政、医療、福祉等の関係者への対応

参考:高次脳機能障害支援モデル事業 参加自治体、地方拠点病院等

道府県など
拠点病院
北海道・札幌市 北海道大学医学部附属病院
宮城県 東北厚生年金病院
埼玉県 埼玉総合リハビリテーションセンター
千葉県 千葉県千葉リハビリテーションセンター
神奈川県 神奈川県総合リハビリテーションセンター
岐阜県 木沢記念病院
三重県 松坂中央総合病院
藤田保健衛生大学七栗サナトリウムリハビリテーションセンター
大阪府 大阪府立身体障害福祉センター
岡山県 川崎医科大学医学部附属病院
広島県 広島県身体障害者リハビリテーションセンター
福岡県・北九州市・福岡市 久留米大学医学部附属病院
名古屋市 名古屋市総合リハビリテーションセンター